理事長 吉村匡史
この度は、日本薬物脳波学会のホームページをご訪問頂き、誠にありがとうございます。
当学会は、1990年に、日本薬物脳波研究会として当時関西医科大学精神神経科学講座教授をお務めになられていた齋藤正巳先生を中心に発足しました。その後、1996年に母体組織のInternational Pharmaco-EEG Group(IPEG)がGroupからSocietyに発展したことを受けて、1997年に現在の「日本薬物脳波学会」に改組されました。なお私は、木下利彦名誉理事長(前理事長)の後を受けて2024年4月に当学会の理事長を仰せつかりました。
薬物脳波学とは、薬物が動物やヒトの脳波に及ぼす影響から、薬物のヒトにおける機能と疾患に対する効果の有無やその特性を予測・推定する学問です1)。薬物による脳波変化を評価する方法には視察的な観察も含まれますが、その主流は定量的な解析になります。当学会の学術大会では、自発脳波、誘発脳波を対象に様々な定量解析手法を用いた発表がなされ、活発な議論が繰り広げられてきました。また、当学会の対象範囲は薬物脳波学にとどまらず、精神疾患・神経疾患などの中枢神経疾患の病態解明、さまざまなリハビリテーション手法や認知課題による脳機能の変化、創薬にかかる種々の研究、近年特に活発になっている脳刺激法、新たな脳波測定機器の応用など非常に幅広いものとなっています。
当学会の会員数は100名強であり比較的小規模ですが、気軽にディスカッションできる雰囲気も特徴の一つです。上記の分野に少しでもご興味をお持ちの方々と、ぜひご一緒させて頂けますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
1)山寺博史 薬物脳波学とは. 薬物脳波学入門. 医学書院, 東京, pp.1-18, 1988.